3-真実

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「私こないだ来た女性が怪しいと思うの。彼女はうちの住所を知ってるし、こないだからそう日がたってないし、こんな手紙が届くなんて明らかにおかしいよ。あの日、あなたと言ってることが全く違ったのも、変だと思う」 「……」 返事がない。 「真剣に話しているの。住所を知られてると思うと気持ち悪い…」 「うーん。本当にわからないんだよ。あの人のことも、飲んだだけでよく知らないんだから」 “わからない” “知らない”と言われてしまっては、どうにも進まない。 それでも、1番聞きたかったことを続けた。 「ねぇ。もしかして、あなた、あの人と不倫してるの?……」 自分で言って、悲しいのか、悔しいのか、意図してない涙が目に溜まり、グスッと鼻をすすると「何で、何もないのに泣くんだよぉ!お前の涙に弱いの知ってるだろ~」と目元を拭いてくれる、私の知っている優しい夫が目の前にいた。 これ以上聞いても、"わからない" で終わるのが、目に見えてたし、私はそれ以上聞くのをやめた。 でも、前回あの(ひと)が来た時に無理矢理打ち消したモヤモヤも、さすがに今回の件は残ったまま。 何もかもメールやLINEで済むようになってからは、手書きの手紙自体届くことすら無いのに、久方ぶりに読んだ手紙が、こんな内容だなんて!モヤモヤしない方がおかしいだろう。 かといって、今すんなり「不倫してるよ」なんて白状されても、モヤモヤは無くなるがそれはそれで嫌だし…私が納得する欲しい解決法が無いのも困ったところだ。 一緒にベッドに入るやいなや夫はイビキをたてて寝に入っている中、私もうとうとし始めた所で、サイドテーブルで充電している携帯がピカピカなにかの着信を知らせていた。 夫は、家で携帯も触っていなかったから、気にもしたことがなかったのに、この日はどうしても気になりドキドキしながら、イビキをかいて寝ている主人を背に携帯に手をかけた… そう、私はこの夫婦間でも開けてはならないと言われているパンドラの箱を開けてしまう。
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