14-贈物

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昨日楽しかった思い出と、"宝子(たかこ)"にアピールして勝った気分で調子に乗った私は、あんなに悩んでいたのに今届いたかのように、簡単にレターパックを開封した。 "宝子"からのプレゼントなんて捨てちゃえばいいと思ったから。 "宝子"が、夫にプレゼントのこと聞いたって、やましい気持ちがある夫は私に言ってこないだろうし…。 聞いてきたら、「女性の名前で届いてたけど、前来たあの怪しい女の人、手紙送ってきた人だと思って気持ち悪いから捨てちゃった」と言おうと思った。 少しぐらい、夫にだって女の勘は鋭くて、怖いってこと気づかせてもいい。 もしかして夫が、普段使ってる手帳だったら、「この人と一緒の時に忘れたの?この人だれ?住所をなんで知ってるの?」と聞いてみよう。 もう、相手が誰かも、会っている人だと知ってるから、気にしない。 そんな軽い気持ちでいた。 中を覗くと、やはり小さな冊子みたいなものが入ってる。 それは手帳ではなかった。 夫と"宝子"の小さな薄いアルバムだった…。 表紙を見ただけで、軽い気持ちで開けたことを後悔するのに十分なダメージを受けた。 2人の笑顔のアップ写真。 人に、この時の衝撃を伝えるのなら、なんて言葉にしたらいいのだろうか。 言葉になんて表せない。 最初、何も知らずに夫の携帯を見たときの衝撃と同じくらいか。 震えが止まらない。 この人、ほんとにおかしい!! 自分の家庭が壊れてもいいと思っている人は、なりふり構わず強いという事を知った。 でも、それには相手の家庭を壊すというものも一緒なのだ。 自分だけなら、別に旦那さんと話し合い、別れればいいだけの話。 夫を自分のものにするなら、訴えられても構わないのだろう…。
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