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写真を見たのにこの程度の動揺で済んでいるのは、"宝子"と違って、地味な"友美"を外見だけで、女として自分より下と見ている。負けてないなと思う自分がいるからというのもあるだろう。
"友美"は遊び。
きっと、今日もクリスマスも正月も会えないから、別れると言われて、仕方なく出かけていったとか。
イケメンでも、お金持ちでも、モノが大きいわけでもない夫みたいな既婚者・子持ちの人を相手にしてくれる人を見つけるのもきっと難しいから、だからキープしておきたいんだなどと、自分の都合の良いように考えてしまう。
夫の心の内なんて見えないのに…。
そうは言っても、ぶつけられないこの思いを、さっきまで他の女と居た夫の横で、平気な顔して笑って耐えられるほど人間はできてない。
お酒でも飲んで逃げたい…。
パパも飲んできたし、私も飲もう~聞こえるように独り言を言って、台所で一杯あおってからグラスにもう一回注いでると、「俺にも一杯持ってきて~」とリビングから夫が人の気も知らずに呑気に頼む声がする。
はいはい、飲み放題じゃなかったんですよね。
友美の姫始めも叶わずで、飲みたい気分ですよね。
私だって、やさぐれた気分にもなるというものだ。
飲み放題じゃあなかったの?そういえば、あんまり飲んでなさそうだよね。と嫌味の1つをつけ加えて、今日届いていた机に置いてある年賀状を見ている夫にグラスを渡した。
そういえば…まだ須藤家に送った年賀状は住所不明で戻ってきてはいない。
明日ぐらいに戻ってくるだろうか。
郵便受けのものを持ってくるのは、基本私がやっているから戻ってきても夫が見ることは無いだろうが、ここ数日は早めに取りに行こう。
"宝子"からの夫宛年賀状も届いてはいなかった。
あの人のことだ、元旦に届くだろうと思っていたので、夫と私のものに年賀状を仕分ける時はビクビクしていたのだが、肩透かしに終わった。
夫に嫌われそうな事はやらないのかもね。
すすむお酒にのまれて、どーでも良くなっていき、フラフラしてる私はソファに座っている夫に膝枕してもらった。
飲み過ぎ!そう言いながらも、優真にママにそこにある毛布掛けてあげてと頼んでくれて、あたたかいものに包まれ、いっときの幸せな眠りについていた…。
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