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"宝子はアルバムを送り、それこそわざと住所を私に知らせたんだと思う。
そう思う根拠はある。
携帯は嘘を書いていたからだ。
バレたくなければ、住所だって偽るはずだ。
私が騒ぎ出して私の夫婦、須藤夫婦が離婚する。
そんな形を望んでいるのだろうと考えてしまう。
私が"宝子"の存在に気づいているのに、私達夫婦に変化が見られないことが"宝子"にとって計算外なのかもしれない。
"遥子"も私達の年賀状を見ただろうな。
あんなアルバムを送ったのに、仲良さそうに3人で写っている家族写真がのった年賀状が届いて驚いただろうか。
私からの年賀状だというのは、気づくと思う。
"今年もよろしく"
どんな風に受けとめただろう。
夫は、須藤家に年賀状を出したことを知らないから、年賀状を返すだろうか?
さすがに、"宝子"が見るかもしれないのにうちの家族写真がのった年賀状は送るはずがない。
どの年賀状も同じものを使っているのに、1枚だけ違うものを作って送ったりするような事もわざわざしないと思うが。
いつも宛名面は私が印刷してあげているので、「新しく届いたものあった? 住所印刷するよ」とさりげなく声をかける。
「大丈夫。懐かしい奴から来たけど、今からじゃ遅すぎだしメールで返しとく」
それ遅すぎじゃなく、ちゃんと元旦に届いたものの返信なんだよ…と思いながら、こんな絶好のチャンスをのがさないと質問する。
「誰から来たの?」
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