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"須藤省吾"の年賀状を私に渡して、こいつだよ。
「同じ会社だった人?まだ飲みに行ったりしているんだ?」
「同期入社で昔はよく飲んでたけど、会社辞めて、転勤になってからは会ってないんだよな。正月だから帰ってきているんだろ」
「実家に帰ってきているってこと?」
差出人には、須藤省吾の名前だけで、"宝子"の名前も入っていなかったから、白々しく聞いてみる。
「同期同士で結婚して、子供もいるよ」
「じゃあ、奥さんの事も知っているんだね」
「同期は全部で15人も居ないくらいだったからな」
やっぱり!!!
3人は知り合い。
職場の同期メンバーだったのだ。
「奥さんは仕事続けてるの?」
「結婚して辞めてたよ」
「あれ?結婚式とか呼ばれていたっけ?」
「いや、呼ばれてないから多分会社の人を呼んでの結婚式はしていないと思う」
「オフィスでの職場恋愛とか、ちょっと憧れる~皆にバレないように、待ち合わせは1つ先の駅の喫茶店とかさ」
「何だそれ!お前は、オフィスで仕事しちゃダメね」
「なにそれっ~ははは~さては心配してんのね。嫉妬か~そうなのか~」とふざけると
「お前は、社会を知らないから騙されそうだって言っているだけです」バツが悪そうに憎まれ口をたたいているが、夫から愛されてる気がして嬉しい。
「転職って、家族がいて思い切ったね。理由は何だったんだろ…」
「仕事もやりたい事と違ったらしいし、上との折り合いも悪かったみたいで、随分悩んでたからな」
「そっかぁ…転勤って、どこ?奥さん達も一緒にについていってるの?」
ついて行ってなんか無いですよね。
旦那さんが居ないのをいいことに、貴方達浮気してるんだから…。
「いやぁ、それがさ単身赴任で、高知だったか。転勤も自分で応募したらしい」
「えっ?!」
意図したものでは無い、驚きの声を思わずもらした。
"宝子"の旦那さんは、転勤を自ら希望したということ?
家族間の関係はもうそこまで冷え切っていて、お互いに感じているということなの??
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