4-詮索

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しかし、それは一瞬のことで、真治は結婚のプロポーズもしてないし、ご両親に挨拶も済ませてないのに、先に妊娠させてしまって、すまないって事への第一声だった。 男らしくて、気遣いのできる優しい真治を好きになって良かったと、心から思った。 その後、お互いの親を説得させるのは本当に大変だったけれど、最終的に結婚する事が決まると、お腹の子を大事にしてと、早くも両家にとって初孫の誕生を楽しみにしてくれた。 真治は、優真が五体満足で産まれてきてくれた時、頑張ったね、ありがとう…と言って涙ぐんでいたよな。 *********** そんな事を思いだすと、今さらながら涙が溢れて止まらなかった。 私のちょっとドジなところが可愛いって、好きだっていつも言ってくれてたよね。 食事の味付けの好みが合いすぎて、怖いくらいだって、いつも美味しいって食べてくれてたよね。 こんなに仲良し夫婦は、〇〇町内 1位だと思うよって。 いや、もっと大きい範囲 〇〇区内 2位狙えるかもって言ってたよね。 なんなのよぉ…… 全部嘘っぱちなのぉ……ねぇ… テレビのボリュームを大にして、それに負けないくらい大きな声を出して泣いた。 ひたすら泣くと、ほんの少しだけ気持ちも軽くなった。 女の人が男の人より長生きするのは、泣けるからで、我慢せず泣くことは、ストレスなどを外に出して浄化してくれる効果があるというのを聞いたことがある。 昨日の事が全て涙と一緒に流れて、無かったことになればいいのに…。 いや、昨日の事が無かったことになっても、不倫の事実は消えるわけではない。 家族を大事にしてくれていた夫が、平気な顔をして女達と会うために仕事だったとか、会社の人との飲みだとか、嘘をついて生活していたのかと思うと、何も信じられない。 かと言って、今でも、(うち)の家庭を壊そうとしている不倫相手なんかに負けないって気持ちは変わらなかった。
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