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3-真実
頭の中で誰?何故?本当だったら?を堂々巡りしながら、答えのないまま、夫の帰りを待つ。
途中「電話した?どうした?」と電話が入った時には、言うか言わまいか一瞬迷ったが、表情や雰囲気がわからないので、帰宅してからで大丈夫だと伝えて、その場で言いたい衝動を堪えた。
帰宅し、遅い夕食を食べ終えた夫に、今日あなた宛にこんな手紙が届いたのと手渡しする。
ちゃんと読んでいるのかわからないくらいの目の通し方で、「何これ?」と尋ねてきた。
こっちが聞きたいよ!と思いっきり怒鳴りたい衝動と、2人の共謀ではなさそうだなというホッとした安堵が入り混じるなか、普段通りを装って答える。
「私が聞きたいのよ。全く身に覚えもない事が書いてあるんだから。これあなた宛なんだけど、どう思う?」
「そんなのわからないよ。お前の彼氏とやらからの手紙だぞ?俺にわかる筈ない」
「何それ!!!」思わず大きな声がでてしまう。
「じゃあ、あなたは私が不倫しているとでも?この手紙を信じているわけね!」
私のスイッチが入ったのがわかって、「冗談だよ。そんな事思ってるわけないじゃん。でも、俺にもよくわからないよ」
事なかれ主義の夫は、いつものように自分の言ったことを冗談にしてすぐに終わらせようとしている。
夫宛に、妻が不倫しているという内容の手紙だが、いくらそんな事は無いと思っていても、こんなにもスルーできるものなのか?
こんな手紙、明らかにおかしいのに…。
それにしても、すぐにカッとスイッチが入ってしまうのは、私の一番悪い所だ。
核心に迫るんだから、冷静に…冷静にと自らに念じながら聞いた。
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