2-疑惑

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2-疑惑

いつものようにポストから郵便物を取り出すと、いつもの請求書の封筒、DMハガキの中に、見慣れない 宛名が手書きの薄っぺらい茶封筒が届いている。 宛名は『田中 真治 様』、差出人の記載は無い。 夫宛だが、差出人の記載が無いので何かおかしさを感じて、すぐに開封してみると… 便箋いっぱいにこう書いてあった。 『はじめまして、突然のお手紙失礼致します。 私、奥様とお付き合いしている者です。 率直に申し上げます。離婚を考えてください。 彼女は、私に何度も出会うのがもっと早ければあなたと結婚していた。 旦那と結婚した事を後悔していると話します。 間違いなく彼女は私といた方が幸せになれます。 彼女自身もそれを感じており、私とずっと一緒にいたいと言っています。 あなたが、彼女の事をどう思っているか知りませんが、それはあなたの一方通行でしかありません。 彼女は、あなたへの気持ちはなくなっています。 この手紙を送る事を彼女は当然知りません。 彼女のためを思い身を引いて下さい。 よろしくお願い申し上げます。』 ………? 彼女って私? 身に覚えが全くない。 何故か存在もしていない“お付き合い”している人から手紙が届いているのだから、驚かない人はいないだろう。 すぐに夫に電話を掛けたが、仕事中で電話にはでなかった。 動揺し、軽いパニック状態になりながらも、繰り返し読み返してみる。 そして、ふとゴールデンウィークのほんの2週間前の来客と、今回の手紙が私の中でひとつに重なった。 もしかして、あの人…。
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