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ところが、そう簡単に上手くいく話ではない。今のところ、成果はゼロだ。
立ち止まる者。目の合う者。少なからずいるけれども、その中にセリーヌの姿はなかった。
外が暗くなり、辺りに街灯がつき始める。日中、多かった人の波も徐々にまばらとなってきた。夜だ。
ーー今日もダメだったか。
突きつけられる事実に、がくりと頭を下げる。眼前には照明で造られたオレの影が映った。前世よりもかなり縮んでしまった体が、気持ちをますます落ち込ませた。
すると、そこに。
別の影が頭上から覆い被さってきた。
薄暗くなる視界。反射的に顔を上げた。刹那。
あまりの衝撃にオレは身を硬くした。
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