主人が帰ってきた

2/2
39人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
私は部屋で主人の帰りを待っていた。 「ただいまー」 あ、彼が帰ってきた。 私はベッドから飛び降りて、彼のもとに一目散に走り出した。 そして、玄関で靴を脱ぎ終わった彼の胸に飛び込んだ。 「おいおい、元気だなあ」 私は彼の胸で包まれながら、上目遣いで彼を見上げた。 「お前は甘えん坊だなあ。よしよし」 彼が私の頭を撫でてくれる。 この瞬間が大好きだ。 「今日はお前の好きな魚を買ってきたぞ」 嬉しそうに彼が言う。 彼は私の好きな食べ物を熟知していて、時々こうして大好物を買って来てくれる。 本当に彼のもとに来てよかったと思う。 私が主人と出会ったのは、あるカフェだ。 カフェと言っても普通の喫茶店ではなく、特殊なカフェ。 彼はその店の常連さんで、よく遊びに来てくれた。 いつも2時間ぐらい遊んで帰るのだが、笑顔がとても素敵だった。 私はそんな彼が気になっていた。 しかし、可愛い子がたくさんいる中で、まさか私を選んでくれるなんて思っても見なかった。 普通はあまりないと思うが、主人と店長は昔からの友人だったために、特別に私は彼のもとにいけることになった。 彼はなんと私に一目ボレだったらしい。 動物を愛する人に悪い人はいないというが、私も彼のそんな優しい面に惹かれたのかも知れない。 実は、私はカフェで仲間にいじめられててちょっと落ち込んでいたので、彼と一緒に暮らせることになって、とても助かった。 仲間にはボス的な女がいたのだが、そいつは顔つきは大人しそうで可愛らしいくせに、裏では皆を仕切っていた。 私はちょっとしたことがきっかけで目をつけられて、みんなからいじめられるようになっていたのだ。 だから、今はとても幸せ。 今は彼が仕事に行っている間、私は家で彼を待っている生活である。 「待ってな。魚料理するから」 嬉しいことを言ってくれる。 彼は料理も得意なのである。 私は彼におねだりした。 「ねえ、私が世話するからうちでも猫飼っていい?」
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!