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「……私は、ただふたりが美味しそうに食べてくれてっ……毎日嬉しいの、だからっ……作るのも、毎日楽しいし……」
「……梨世ちゃん」
「あー、パパ マァマなかした」
尚くんの言葉を実感してまた泣いてしまう私に、尚くんは優しく頭を撫でてくれている。まなは尚くんが私を泣かせたと思ってる。あながち、間違いではないけどね。
「へへ、まな、ママは嬉しくて泣いてるの……涙にはふたつあるんだよ」
「ふたつ?」
「悲しいな、痛いな、やだなって思って泣くのと、嬉しいな、幸せだな、って思って泣くのがあるの」
「まないたいのやだ」
「そうだね、でもママは痛くないよ、幸せで嬉しくて、嬉しいなー泣いちゃうなーってなるのっ……」
「う、うぅ……うわぁぁん……」
「えっ、真凪?」
するとまなも突然泣き出して、泣きながらも尚くんのパジャマで顔をごしごししながらにこにこ笑ってる。
きっと、なんとなくだけど……まなにもその幸せが届いたんだろうなって思った。
「ふふ。真凪も僕も梨世ちゃんも……うちの家族は皆泣き虫だ」
「一番は尚くんだけどね」
「何言ってんの、梨世ちゃんでしょ?」
ベッドの上で親子3人、笑い合い、泣き合いながら迎えた新年は、この冬の中でも暖かさと愛に包まれていた。
今年もきっと素敵な1年になる。
私はそう確信して、元旦の夜のおやすみを言いながら、きっとまた明日当たり前のように日が昇って。
家族3人で明るい朝を迎えられることに、心から感謝した。
「愛してるよ、梨世ちゃん」
「私も……尚くん、愛してる」
【了】
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