読者アンケートの空白

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読者アンケートの空白

「よし、これでオッケーかな」  わたしが椅子から立ち上がって背筋を伸ばしたのは、腕時計の針が仲良く天井を指している時間帯だった。  普通ならこれくらいの時間に出社するのだが、このところ忙しくて出来なかった仕事もあったので、朝から来て作業に取り掛かっていたのだ。 「高梨(たかなし)先輩、お疲れ様です。今回は苦戦しましたね」  いつの間にか、隣で校正チェックをしていた後輩の大森(おおもり)林檎(りんご)(わたしは林檎と呼んでいる)が笑顔を浮かべながら、わたしに労いの言葉を投げかける。 「先輩ってホント偉いですよね。投稿者たちの評価シートまでキッチリ書いて尊敬します」  わたしは、自分のノルマとして渡された大量のデータ原稿と紙の原稿に費やした時間を思い出す。 「別に、やるなら徹底的にやるだけよ。それが編集者の仕事でしょ?」 「そうですね、先輩の評価シート好評ですからね。丁寧に指摘点をまとめてくれてるって」  鼻唄を奏でながら、彼女は先ほどまで作業していたネーム原稿から手を離す。 「でも、先輩だっていっぱい担当の漫画家さんを抱えているんですから、こっちに仕事を回してくれても良いんですよ?」     
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