3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ん~、美味しいですね、先輩」
満面の笑みを浮かべながら、林檎はクリームチーズのパスタを口に運んでいく。
わたしはシンプルなトマトソースのパスタを頼んだが、確かに美味しい。林檎に連れていってもらえる店に外れはない。わたしなんかは、ついついコンビニのサラダで済ましてしまうことが多いので、こうしてたまに食事に誘ってくれるのは有り難かったりする。
ましてや、早朝から編集部に籠もって作業をしていたので、こういう日は自分へのご褒美を与えても、バチは当たらないだろう。
それに、後輩の話を聞くのも先輩の務めだ。
「先輩~、聞いて下さいよ~。今月のアンケート調査の結果、あたしの担当のシロマル先生の新連載が三位を取ったんですよ!」
「ええ、おめでとう。シロマル先生は今回が初連載だものね」
「やっぱり気になってました? なにせ高梨先輩がお世話してた漫画家さんですもんね」
「お世話ってほどじゃないわよ。シロマル先生が新人賞に原稿を送ってきてくれたものを最初にわたしが読んだだけ」
確かに、読み切りなどの担当はわたしだったが、あくまでも今回の新連載の枠を勝ち取ったのは彼女の実力だ。
最初のコメントを投稿しよう!