夢の中

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窓の外は雲一つない快晴で、隙間から温い空気が入り込む。 今日も暑くなるだろう、私は半袖シャツと短いキュロットに着替え、タオルを持って自室から出た。 祖父の家は古い木造の一軒家で、一階と二階、それと広い庭がある。 便利なのは二階にも洗面所があることだ。 着替えた服が濡れてしまうので本当は先に顔を洗いに行きたいのだが、そうしないのは理由がある。 「お姉ちゃん!おはよう!」 先程から足音をさせていた小学五年生の弟、総一が走ってきて大きな声でいう。 弟、と言っても血は繋がっていないのだが…。 「おはよう総一くん、元気だね。」 「うん!さっきまでお父さんと遊びに行ってたんだ!」 心から嬉しそうに報告する。 この辺りに遊べるような場所があっただろうか、この家と同じ一軒家と田んぼばかりのはずだが…。 首をひねっていると階段の方から柔らかな足音が聞こえてきて女性が顔を覗かせた。 「総一!走っちゃだめって言ってるでしょう。」 「はーいお母さん、ごめんなさーい。」 謝りながらも結局走って逃げていった。 そんな総一くんにもう一度注意しながらも呆れたため息を漏らしている女性が今の私の母親、父の再婚相手だ。 父は私の産みの母と三年程前に離婚している、そして約一年前にこの人、薫さんと再婚した。 突然の離婚と早い再婚に驚いたのは今も覚えている、しかしそれ以上に驚いたのが薫さんに連れ子がいたことだ。 その連れ子が先程走っていった総一くんだ。 離婚のときも再婚のときも驚いている私を置いていって、あれやこれやという間に進んでいき今に至る。 私が顔を洗う前に着替えてしまうのも、元気がでないのも、この二人が起因しているのに、父は…この人達は気づいていない。 「おはよう夏菜子ちゃん、朝からうるさくてごめんなさいね。」 「おはよう薫さん、大丈夫です。」 私は未だこの人のことを母とは呼びづらくて名前で呼んでいる。 薫さんも察してくれているのか、私のことは名前にちゃん付けで呼んでくれている。
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