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小学校からの帰り道を幼い私が歩いている。
周りに人はいなくて、田んぼで小鳥が何かをつついているだけだ。
ランドセルを背負って重い足取り。
いつもの明晰夢だ。
この道は私が今日歩いた道だ。
重苦しい気分の中やっと寝付いたというのに、夢の中でもこの道を見なければいけないのかと思った。
嫌だと思ってもなくなるわけではなく、仕方なく見ていると今日うずくまった木のところにやってきた。
幼い私は何を思ったのかその木に近づき、周りに生えていいる丈の高い草を分け入って入っていく。
こんな私を私は覚えていない、この先の森の中に行った覚えもない。
困惑していても幼い私は奥へ奥へと進んでいきついていくしかなかった。
木々の密度が増えていき、生い茂る葉が陽の光を遮っていく。
道になっていない枯れ葉と苔の絨毯を踏みしめる。
一度だけ夢で見た場所だ。
は…きて…。
昼間に聞こえてきた声。
そちらに向かって幼い私はただ歩いている。
ま…るよ…。
しばらくすると少しだけ開けた場所に出た。
そして目の前には小さな…。
まってるよ。
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