6 二人の距離

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 互いの輪郭がわかる程度の暗さで、良かった。  きっと、私、酷い顔してる――。  涙と汗と唾液で顔中がベトベトな上に、きっとみっともないくらい物欲しそうにしてる。  恥ずかしくて堪らないのに、怖くて堪らないのに、太腿に当たる智也の欲情を受け入れたくなってる。  気がつくと、智也のキスに応えていた。 「あんた、身体じゅう柔らかいな」  智也の手が胸からお腹に下がっていく。  一気に、理性を取り戻す。 「ダメ!」  自分でもびっくりするほどの力で、智也を押し退けた。  それまでぴったりと寄り添っていた身体の間に冷たい空気が流れる。火照った身体が、急速に冷えていく。 「なんで」  表情が見えなくても、智也が不機嫌なのがわかった。 「今日はしないって……」 「嫌だった?」 「そうじゃないけど……」 「けど――?」 「……傷が……あって……」 「傷?」
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