1 五歳年下の上司

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「あ……、はい!」  彼女は慌てた様子で勢いよく立ち上がり、足早に給湯室に向かった。 「あ、俺も欲しかった」と風間が呟く。 「頼んで来るよ」  俺は彼女の後を追った。 「風間の分もいいかな」  彼女の驚きように、驚いた。  持っていたカップをシンクに落とし、慌てて拾い上げる。 「わかりました」と呟いた声は、震えていた。 「どうしたんですか?」 「え?」 「体調でも悪い?」 「あ……、いえ……」  頬を引き攣らせて、無理に微笑む。 「大丈夫です……」 「全然、大丈夫そうじゃない」 「そんな……こと……」  誤魔化すように俺に背を向け、彼女は落としたカップを洗う。  丸く柔らかそうな背中が、俺を拒絶する。それが、なぜか無性に寂しく感じた。
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