6 二人の距離

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『付き合ってる人がいるんだって?』と、妹の囁き声。 『今もその人と一緒?』 「ちがっ――!」 『子供たちのことは心配しなくていいから、羽伸ばしなよ』 「璃子(りこ)!」  思わず声が大きくなってしまい、ハッとする。 「そういうんじゃないから」 『隠すことないじゃん。再婚とか抜きにしても、恋人くらいいたっていいと思うよ? せっかく自由になったんだから!』  部屋を移ったらしく、璃子の背後が静かになり、璃子の声のボリュームも戻った。 『今度、どんな人か聞かせてよ』 「璃子。子供たちには――」 『言わないよ。真が聞いたら、一人でも電車に飛び乗りそうだからね』と、妹がケラケラと笑う。 「笑いごとじゃないから」 『ま、恋人のことは置いといても、今回はゆっくりしなよ』 「ん。ありがとう」 『亮に代わるから、切ってね。亮ー! お母さんと話しなー』  バタバタと走る足音。 『お母さん!』  元気な声は、少し息が弾んでいた。  亮の姿を思い出すと、ホッとする。
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