6 二人の距離

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 工場からの帰りにラーメンを食べた。智也は味噌、私は醤油。  二人ともお腹が空いていたし、工場の人が美味しいと勧めてくれたから。  美味しかった。 「さて。この後はどうする?」  会社に戻って仕事をするのだと思っていた。 「映画でも観に行くか」  二人で映画を観るなんて、デートみたいだと思った。 「デートの定番っぽいだろ?」  考えが似ているのか、智也は時々、私が思ったことを口にする。  それが、嬉しい。 「最近、全然行ってないから、映画館の場所も忘れたな」 「ここからなら、小樽(おたる)が近いですよ」 「ああ!」  智也が右に車線変更し、ウインカーを上げた。タイミングよく信号が変わる。右折するとすぐに、右前方に海が見えてきた。 「よく行くのか?」 「はい。子供を連れて、ですけど」 「小樽に?」 「小樽は空いてるから、多いですね。時間が合わない時は札駅(さつえき)ですけど」 「子供はどんな映画見るんだ?」 「アニメですよ。最近は――」と言いかけて、ようやく気がついた。 「誰かに見られたりしませんか?」
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