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彼女は甘いコーヒーをシンクに流し、スポンジでカップを洗う。
「堀藤さん。無理しなくていいんですよ? お子さんもいらっしゃるし……」
俺はまた、彼女の背中に言った。彼女は振り向かず、けれど少し首を回して俺に言った。
「大丈夫です。明日は、子供たちはいないので」
「え?」
「明日は……父親のところに行く日なので……」
父親……?
ああ、別れた旦那か……。
「なので、大丈夫です」
「そう……ですか……」
今日、遅くまで残業しても週末は休もうと考えていた。が、気が変わった。
俺はデスクに戻ると、風間に週末は休んでいいと伝えた。
彼女と溝口課長が二人で休出なんて、家で寝ていられるはずがなかった。
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