2 二歳年下の上司

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「あんたも俺が怖いか?」  千堂が、堀藤が『怖い』と言うことを願っているとわかった。そう言えば、俺の興味がそがれると思って。  けれど、彼女は俺の目を見据えてきっぱりと言った。 「怖くありません」  面白い……。  やきもきしている千堂を尻目に、俺は楽しくなってきた。  口の中の甘ったるさに我慢できなくて、俺はカップをシンクに置いた。 「ブラックで淹れ直してくれ」 「は……い」  彼女の横に立った時、いい香りがした。  香水なんかの鼻につく香りじゃなく、石鹸のような不愉快じゃない甘くて爽やかな香り。 「それから、明日は暇か?」  千堂の間抜け面が視界に入り、吹き出しそうになった。  デートにでも誘うと思ってるのか? 「休日出勤、出来るか?」 「溝口課長、堀藤さんは平日勤務のパートさんで、お子さんも――」  堀藤が返事をしようと口を開きかけた時、千堂が割って入った。思わず舌打ちしそうになった。 「近藤がミスした見積書は、月曜の朝までに先方にメールしなきゃならない。あの様子だと、誰も俺と休日出勤はしたくないだろう?」
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