1 五歳年下の上司

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「面白かったです、教えてくれた映画」  翌日。  俺はコーヒーを淹れる彼女の背中に言った。昨日とは違い、今日はまた髪を束ねている。  彼女はチラッと振り返り、笑った。 「良かったです」  俺は自分のカップを彼女の手元に置いた。 「俺にももらえますか」 「はい」  彼女の手元には、既に三つのカップが並んでいた。それぞれに、ゆっくりと黒い液体を注いでいく。 「コ〇ン、面白かったですか?」 「はい。亮にはちょっと難しかったみたいですけど」 「そういえば、お兄ちゃんは何て名前なんですか?」 「(しん)です」と言って、彼女は八分目までコーヒーが入った俺のカップを差し出した。  俺は礼を言って受け取り、その場で一口飲む。 「しっかりした子ですね」 「ありがとうございます」  自慢の息子たちなんだな、と思った。
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