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「面白かったです、教えてくれた映画」
翌日。
俺はコーヒーを淹れる彼女の背中に言った。昨日とは違い、今日はまた髪を束ねている。
彼女はチラッと振り返り、笑った。
「良かったです」
俺は自分のカップを彼女の手元に置いた。
「俺にももらえますか」
「はい」
彼女の手元には、既に三つのカップが並んでいた。それぞれに、ゆっくりと黒い液体を注いでいく。
「コ〇ン、面白かったですか?」
「はい。亮にはちょっと難しかったみたいですけど」
「そういえば、お兄ちゃんは何て名前なんですか?」
「真です」と言って、彼女は八分目までコーヒーが入った俺のカップを差し出した。
俺は礼を言って受け取り、その場で一口飲む。
「しっかりした子ですね」
「ありがとうございます」
自慢の息子たちなんだな、と思った。
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