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その週は課に留まらず部全体が忙しかった。
大口の契約に大幅な変更が加えられたことと、新規の契約が取れたこと、納期を直前に不備が見つかったことが重なった。
俺は新規契約の打ち合わせでほとんど社を出ていた。だから、金曜に社に戻って、その惨状に驚いた。
「なんか……殺気立ってるな」
空気が淀んでいた。
みんな疲れ切った顔でデスクに向かっている。
「見積書を作ったの、誰だよ!」
二課の溝口課長の怒鳴り声がフロアに響く。
「私……です」
女性社員が怯えた様子で課長のデスクの前に立った。
「足し算と掛け算も出来ないのか!」と、課長が見積書の束をデスクに叩きつける。
「やる気がねぇなら、やめちまえ!!」
フロアがシンッと静まり返る。
「すいませ――」
「どうやったら全部間違えるんだよ!」
女性社員が肩を震わせ、俯く。
泣くな、と思った。
泣かせたら余計に効率が下がるだろうに……。
案の定、泣き出した。そして、課長の機嫌が更に悪くなる。
「泣いて見積もりの数字が変わるのか!」
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