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「『寂しい』って言ったら、させてくれんの?」
ガバッと布団の重みを感じなくなったと思ったら、その何十倍もの圧に替わった。
それが、智也の重みだと気づいたと同時に、唇が塞がれた。
「ん――っ!」
この前の、軽く触れる優しいキスとは違う。
押し付けられるような、少し痛いくらいのキス。
思わず、智也の肩を押し返そうと力がこもる。
息が苦しい。
智也の舌が唇に触れ、無意識に唇をきつく結んだ。
「んん……」
久し振り過ぎる深いキスへの応え方がわからない。
唇を開いて、受け入れる勇気もない。
智也の舌が私の唇をゆっくりと舐め、開くのを待つ。
こんなの、無理――!
怖かった。
キスの仕方なんて、忘れてしまった。
セックスなんて、もってのほか。
ふっと唇の熱が冷めた。
「口、開けろよ」
「無理!」
「嫌か?」
「そうじゃ――」
自分の感覚を疑った。
智也の手が胸に触れ、ゆっくりと包み込むように指が広がっていく。
「や……」
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