111人が本棚に入れています
本棚に追加
え?
ドキン! とした瞬間、頬に触れる指。息が止まる。
「まつ毛かな……なんかついてる」
「……あ、ああ。取ってください」
なんだよ。紛らわしいことはやめてくれ。
勘違いした自分が恥ずかしくて内心悪態をつく。
「うん……取れない。生えてんのか?」
「え? そんな濃いのが? やだなぁ~」
ゴウさんがますます顔を近づけた。
「…………」
やっぱり息を止めてしまう。
「あ、とれた。やっぱまつ毛だ」
人差し指を僕に向けニコッと笑う。そんな時の笑顔は売れる前と全然変わらない。初めて挨拶した時を昨日のことのように思い出せる。
「いや、笑顔可愛すぎか」
思わずそう、突っ込んでた。ゴウさんが「え?」って目を丸くする。
何言ってんだ俺。自分で告白フラグ立ててどうすんの!
焦る僕にゴウさんが微笑んだ。
「寝る? もう十二時だし……ボーッとしてるでしょ?」
「あ……、うん。ですね。あ、いえ、帰ります」
「今から帰って寝る準備してたら睡眠時間削るって! ベッド、昨日シーツ変えたばっかだから使っていいよ?」
「いやいや! マネージャーがベッドを使うわけにはいきません!」
「俺、観たいライブ映像あるんだ。だからまだ寝ないから。先に寝ていいよ? ここでも眠れるし」
「……はぁ」
最初のコメントを投稿しよう!