峰君の見てる風景

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「ミネ! ミネちゃーん! ネクタイってこうだっけ?」 「違いますよ。長い方をグルッと……って、前も教えたでしょ?」 「こう? こう?」 「はいはい……」  仙波さんのネクタイを締めて、後ろへ下がる。 「うん。カッコイイよ。決まってる」 「ありがとー!」 「ちゃんと仲直りするんですよ?」 「うんうん。いってきまーす」 「いってらしゃい」  ニカッと仙波スマイルで楽屋を出て行く人。ドアがパタンと閉まり、フリフリしてた手を下ろした。 「ふーっ」  ゴウさんは今日、仙波さんより先に楽屋から出て行った。大事な用があるって言ってた。クリスマスだし……きっとパーティとか? もしかしてデートなのかもしれない。  結局、僕はひとりだ。 「ふふ」  自虐気味に笑ってみる。  滑稽だね。でもこれでいいんだよ。マネージャーが恋心なんて抱いちゃいけない。タレントさんは大事な商品。それ以上でも以下でもない。ちゃんとわきまえないと。  背中のバッグを前に回して車の鍵を取り出してると、カチャとドアが開いた。仙波さんが忘れ物でもして戻ってきたのかと思った。でも振り向くとゴウさんで……、僕は呆気に取られた。
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