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「おつかれさまー」
年末特番の収録が終わり楽屋に戻ると、俺の相方である仙波ちゃんが珍しくパリッとした白シャツに袖を通していた。下はストレートのちょっとダメージ入ったお洒落なジーンズ。
ああ、そういえば今日はデートって言ってたな。
「間に合うの?」
「うん! ゴウ君に言われたとおり、待ち合わせ九時に変更しといたし!」
予定では七時終わりだったけど、特番なんて特に時間が押す。絶対待たせることになるから八時に約束は無謀だぞ! とアドバイスを素直に聞き入れたらしい。
「そかそか」
「ゴウさん、仙波さん、お疲れ様です」
マネージャーの峰が楽屋へ入ってきた。青紫の細いタイプのネクタイを首にかけていた仙波ちゃんがパッと顔を上げる。
「ミネ! ミネちゃーん! ネクタイってこうだっけ?」
「違いますよ。長い方をグルッと……前も教えたでしょ?」
「こう? こう?」
「はいはい……」
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