ぬくもり言葉

「こっちで『ママさんダンプ』って言っても通じないですよね」
「な、あんなに便利なのに、こっちの奴らみんな知らないよなー」
「ですよね。……あの、山中さんて普段話してて方言出ますか？トウキビとか、ゴミを投げるとか」

「言う言う。普通に言ってる。何？そう言う植西は？もしかして都会人ぶって標準語か？」
「……実は、方言を指摘されるのが嫌で、昔より口数少なくなりました」
「なんだよそれ。なんも、そんな事気にすんなー。どんどん使えばいいっしょ」
そう言ってまた、がはっと大口を開けて笑う。

彼の言葉が私の心を柔らかく包んでいく。
「手袋を履く。雪をほろう。あと、うるかす！」
「え？うるかす！？うるかすって方言？嘘っ、まじで？じゃあ、うるかすって標準語でなんてぇの？」
「えっと……多分、浸す？」
「いや、浸すとは違うだろ。うるかすはうるかすだって」
方言が表す微妙なニュアンス。
彼の熱弁につい、ふっと笑いが漏れた。