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「あ……」
そう言って彼が急に固まる。
不思議に思って私が首を傾げると、彼が顔を赤らめた。
「どうしたんですか?」
「いや、なんか、さ……。俺自身はあんまし使わんかったんだけど、俺の婆ちゃんがさ、昔よく言ってたんだよ。俺の事めんこいって。めんこいは可愛いよりも上だって言って……」
『葉月はめんこい』
うちのおばあちゃんも『めんこいは可愛いよりもめんこいんだよ』って言っていた。なんだか懐かしい。
方言のぬくもりがふわっと心を暖める。
都会に出て避けるようになった方言。
でも、北海道から離れたからこそ北海道弁ののんびりした言葉のぬくもりが恋しくて愛しくて堪らない。
方言を気にせず人と話せるってこんなにも楽しくて心地良いものだっただろうか。
もっと、彼と話していたい。
そうしたら、私も山中さんのように方言なんて小さな事気にせずに、たくさん人と話せるような気がしてきた。
もっと、彼と……。
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