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口の中に広がるのは、美味しい麦茶の味なんかではなく、錆びた鉄のような血液の臭い。
そして、喉元に流れるどろりとした感触だった。
「大変だ、高校生が轢かれたぞ!」
「駅員だ、駅員を呼べ!」
どこか遠くで悲鳴に混じり、男たちの声が聞こえる。
そんな中、薫の耳元で女の声が囁いた。
「大丈夫。試合は絶対に勝つから」
最後の力を振り絞ってうっすらと目を空けると、ぼんやりと少女の笑った顔が見えた。
彼女は友達が欲しかったのではない、レギュラーになりたかったのだ。
円陣を組む時は気を付けて。レディを、引き寄せてしまうかもしれない。
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