それでも私は......

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なんとなく背後に気配を感じた。見ると、竹箒を手に住職が微笑んでいた。 「まだおいでだったのですね。寒くはありませんか」 「おいしいお茶をいれていただきましたので。ポカポカです」 お世辞抜きで本当に住職のお茶はうまい。なぜだかしみじみと腹が温まる。 それはよかったというように頷きながら「いま、ここ。日常の一つひとつに心を込めるのが仏法です。お茶をお出しするにもね」と、また住職の顔がほころんだ。
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