アロハな世界

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 その話を聞いた一同は、あっけにとられました。 「あれ、ということは、ロウラン王国のお宝は、持ってない、と。」 ミュッチがココナッツの精霊にそう聞くと、ココナッツの精霊は、こう言います。 「実はそうなのですよー。代わりに、ココ椰子(ヤシ)多面鏡(ためんきょう)を持っていたので、それを使って、みなさんの夢をうつした鏡の中に入って、メッセージを送ったのです。」 「あっ。」 ミュッチも、サラーメも、パンダネコ帝も、あのことか、と、思い出しました。 「じゃあ、ロウラン王国のお宝は逆に、ハワイにいる精霊さんが持っているのかな。」 ミュッチがそう聞くと、ココナッツミルクちゃんは意外な答えを返しました。 「いえ、ハワイにいる精霊さんに確認したところ、ロウラン王国の秘宝(ひほう)は古くに盗難(とうなん)されてから、長い間所在がわからなくなってしまっていたのだと言いますが、ウワサでは今度の天帝賞(テンテイショウ)(ハル)の副賞としてその秘宝がもらえるとかなんとか。」 「え、ワテ、なんも聞いておらんけど。」 天帝賞主催者(しゅさいしゃ)のパンダネコ帝があわてた様子で言います。 「協賛企業(きょうさんきぎょう)が出すとかなんとか。」 「あー、ワテそういうのチェックしておらんかった。 メンゴメンゴ。」 天帝賞・春と聞いて、目に(ほのお)を宿らせるものがひとり、いやふたり。 春にはとても忙しくなりそうな予感が、パッチにもミュッチにもバラマにもしたのでした。 つづく
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