ひさびさに霊交信機《れいこうしんき》の鳴る音

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 長老にそう言われて、パッチはあわててしまいました。 まだ伝説の秘宝(ひほう)は、四つしか手に入れていません。 すると、バラマがあっさりとこう返事をするのです。 「まあ、今がんばっているところだからよ。もう少しで七つそろうから、な、パッチ、ミュッチ。 長老、そんなに心配すんなって。 おいらたちに任せていれば、すぐに精霊界(せいれいかい)現実世界(げんじつせかい)も平和になるってもんだ。」  バラマのその話し方にすっかりだまされた長老は、安心しきった顔で、そうかそうか、とうなずき、こうつぶやいたのでした。 「どうやら、わしのとりこし苦労(ぐろう)だったようじゃな。 そうそう、もうおぬしらは手に入れたと思うのじゃが、タクラマカン砂漠(さばく)のどこかに、太古(たいこ)の昔にほろびたはずの王国があり、そこに伝説の秘宝(ひほう)のひとつがあると言う。 ミュッテランスンよ、そなたの父のイルニャ王がそのお宝を是非とも見てみたいと言っておったので、よろしくな。」 長老がそう言うと、ミュッチは、はーいと空返事(からへんじ)をしました。 ミュッチはどうやら、砂漠と聞いて少しめんどくさくなっているようです。 「おっと、そろそろ霊交信(れいこうしん)しホーダイライト無料交信分(むりょうこうしんぶん)の5分間が切れるから、切るぞい。」 マングローブ精霊の長老はちゃっかりしているので、あまり長交信(ながこうしん)はしないのです。 長老の霊体は、ポツンと急に目の前から姿を消したのでした。
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