けじめ(アルブレヒト)

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 呟いた言葉に、傍らのダンはビクリとしながらも剣に手をかけた。オスカルも警戒するように剣に手をかけたが、こちらはカーライルが静かに右手を上げて制した。  ナルサッハは透けていながらも色彩を保っている。苦笑しながら近づいてきて、そっとアルブレヒトの足元に臣下の礼を取った。 『お約束通り、けじめを付けに参りました』 「けじめ?」 『あの男、このままでは死して尚この国に仇を成すでしょう。貴方を呪うなどおこがましい事ですし、返り討ちに合うことは疑いませんが、それでも憂いを断ちたいと思うのが当然のこと。私が引きずって、地獄の底まで連れてゆきます』 「そんな!」  思わず少し大きな声が出てしまう。人の賑わいにかき消されるだろうがそれでも、心臓が痛い思いに声が大きくなりそうだった。  ナルサッハはもの悲しく笑う。そして大切そうに、アルブレヒトの手に触れた。 『どのみち、私も地獄は通らねばなりません。あんなのでも一緒ならば、多少賑やかでしょう。もののついでと思っていください』 「ナル……」 『あぁ、泣きそうな顔などなさらないでください我が君』  労るような手が頬に触れる。そこには温度はないけれど、触れている事はちゃんと感じられている。  ナルサッハは色々な事を既に決めているようだった。だからこそ穏やかに笑っていられるのだと思えた。     
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