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ランバートのアドバイスはなるほどと思える。確かに触れるだけのキスだから、疼いたりしない。それでいつも離れていってしまうから。
「いつもシウスからしてくれるから」
「自分からしに行くといい。首に腕を絡めて、受け入れてくれるまで何度も」
「ゼロス、お前そんな風にして誘うのか?」
「!!」
ゼロスのアドバイスをランバートがからかうと、途端にゼロスは真っ赤になる。そんな状態で睨まれても、威力はほぼゼロなんだけれど。
でもこれは有効な手段かもしれない。受け身じゃなくて攻めてみよう。そこで拒絶的だった時には……都合が悪いんだって思いたい。
「後は、思っている事を素直に伝えてみる事じゃないのかな?」
「え?」
ランバートが苦笑して、ラウルの胸とツンツンと指で突く。
「今俺達に言っている事を、ラウルの素直な気持ちを、シウス様に伝えてみたらどうかな? やっぱりさ、付き合い長くても言葉にしないと伝わらない事もあるんだよ。気付いてなんて、難しいんだ」
「それは言えているな。案外鈍い。そのくせ妙な所で鋭いんだ」
腕を組んだゼロスもそんな事を言う。
けれど、妙にスッキリ入って来た。確かにそうかもしれない。聡い人だけれど、恋愛には初々しい部分があるし、恥ずかしがり屋だ。人にあまり、夜の営みを知られたくないと思っている節はある。
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