【残酷・無理矢理・R18】とある宰相の転落劇・4(ナルサッハ)

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 ふと、ナルサッハは視線を上げる。無人の教会の中、ただ一人の主を待っている。  第二の都市に逃げ込み、一ヶ月と少し。キルヒアイスが何をしているのかは、もう知らない。  長い時間に感じた。その中で、こんな過去を思い出していた。  思惑はその通りにはならなかった。アルブレヒトはやはり、アルブレヒトなのだろう。それでも少しはいい目をしてくれているといい。私を殺す目をしてくれればいい。多少、俗人に近づいてくれていればそれで満足だ。  音がする。きっと、攻め込んできたんだ。  そうして待つ事数十分、教会の扉が開いた。 「ナルサッハ」  真っ直ぐに見るアルブレヒトの目を見て、ナルサッハは笑った。  あぁ、いい目だ。手垢にまみれ、多生墜ちた目だ。貴方は知った、人を憎む心を。 「我が君」  愛しさを込めて、そう呼んだ。  ナルサッハの心は震えるような喜びを感じている。愛しい主が、待ち望んだ断罪をくれる時がきたのだ。
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