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「本当に道を探ったのか? お前、やれる事探してから言ってんのか」
「右手一本でどうなる!」
「どうにかなる剣だってあるんだよ!」
ビクリとベリアンスは肩を震わせた。そんなベリアンスの前に、ダンは一本の剣を投げよこした。
「お前の治療をしていた、エリオット先生はレイピアの達人だ。あれは左腕の負担が少ない。お前はセンスもいいだろ、できる」
「一からやれと?」
「いいじゃねーか、すっからかんならそこに有意義なもの突っ込め。お前の中が色んなものできっちり詰まるまで、俺がここを守ってやる」
「……え?」
守ってやるとは、どういうことだろうか。
ベリアンスは見上げる。凛と雄々しい男の目は、黙ってベリアンスが立つのを待っている。
「俺は正直実戦は好きだが、人前に出るのは苦手だ。騎士団長なんて柄にねーよ。だから、今は仮にしてもらった。お前が戻ってきたら、お前に丸投げするんだからな。きっちり穴塞いでこい」
驚きすぎてリアクションができない。まだそこに、席があるなんて思っていなかったから。全てが終わったのだと、思ったから。
転がされた剣に手を伸ばす。軽く、華奢な剣。今まで扱ってきた剣とは大違いなそれは、だが導くように光って見える。
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