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『……何も、知らないくせに。私がここでどんな事をされたのか、貴方は知らない! 貴方は聞きもしなかった!』
また感情が波打つ。そのまま口にする。そこで思う、知って欲しかったのかと。気を使って周囲は私に問わなかった。気の毒な人間にした。腫れ物に触るような視線が、私を余計に惨めにした。
『床に這いつくばって畜生のように食事をして、排泄まで人前で桶の中! 嫌悪と怯えに萎えきった体に、あの男は無理矢理クスリを注射して高ぶらせて犯したんです! 感じたくなかったのに体は勝手に高ぶって、心を裏切り続けた! そのうちにどんなにクスリを打たれても、私の体は吐精する事ができなくなった! 女になったかと、あの男は嘲ったのです! こんな!! こんな、おかしくなりそうな地獄なのに私は……貴方の希望を追い続けた……』
「ナル……ごめん、ごめんなさい。助けられなくて、ごめ……」
『喉が裂けそうな程に叫んだのに。求めたのに……。貴方は狂わせてくれなかった。私を慈しむ事を止めてくれなかった。光り続けて……狂わせてくれなかった……っ」
「すまない、ナルサッハ!」
ギュッと抱きしめる体は震えている。声が、震えている。
こんな風に、責めるつもりなんてなかったのに。口にするつもりはなかったのに。
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