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来たと奥様にお伝えください、拙は明日夕方に来ますと」
「いいよーわかった、そのかわりお願いがあるんだ、かきっさんからもらった竹とんぼ飛び過ぎて無くしちゃった、暇な時でいいからまた作ってくれないかなぁ
「畏まり申した」
「ありがとう、楽しみに待ってるね、また来週」
「御意」
康はフジのもとへ嬉しそうに掛けていった、嘉吉はいつもねぐらにしていた公園にあるコンクリート製の山型遊具のトンネルの中に寝そべって珍しく考えごとをしていた。
その晩から一切何も飲み食いしなかった。小便と糞は出せるだけ出した。
翌日の夕方
「奥様、こんばんは」
「こんばんは」
「これを坊ちゃんへ」
「食卓に置いておいて下さい」
「わかり申した」
「食事は、いいです、ね。」
「御意」
嘉吉の腹は空っぽになっていた、フジもそうであろう。
「奥様ははじめからかようにお考えで拙をお迎えなさったんで?」
「半分は」
「左様で」
「貴方も、薄々お気づきになっていたのではありませんか?」
「武士の意地、ということで?」
「貴方も死に場所を待って、生きてこられたのではないですか?」
「おっしゃる通りかもしれませぬ」
「夫に止められていて自分では出来ませんで
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