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は水曜日の午後週に一回。もう一つは週末、自分を訪ねてきてくれる末娘明子(めいこ)の長男入来康(こう)という中学生の孫の存在だった。
ある日フジは横島から珍しい話を聞く
「最近汚らしい物乞いが『出来るお手伝いならなんでも致しますのでどうか一杯の飯を恵んで下さい』ってこの辺一帯を徘徊して回ってるらしいのよ、気を許したら何されるかわかったもんじゃないわ」
横島は自分の邪まさ以上のことを想像しては気味悪がった。悪い人間は悪いことを企む人間の心がわかる、他ならぬ自分がそうやって生きてきたからだ。
「そのような方が・・・お可哀相に、もしその方がお見えになったら、私のところへ来てくださるようお願いできないでしょうか?」
「嫌べ!あんな汚らしい男二度とうちの門をくぐらせるものですか!一銭の得にもなりゃしない」
悪態をつく横島を気にかけずその老女は黙って空を見上げた。
黒い鳥がさっと横切っていずこかへ飛んで消えていく。女の瞳が赤く光った。
それはほんの一瞬ではあったが密やかに光る女の瞳。
この日中村宅から沢庵漬けが四切れ消えた。
とある平日の昼下がり、どっしりとした男の力強い足音をその老女は感じた。
「ご免
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