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ってその時居ない人の悪口や噂話で盛り上がっている、そういうことを楽しむ者は、その中の誰かが居ない時にまた、居ない人の悪口や噂話で楽しむ生き物、なのですよ、そういうのは、下衆のすることですの。きっと井戸のあったずっと昔から、女はそういう生き物なんでしょうね」
嘉吉にはまだ腑に落ちない様子であったが、老女の心内はスッキリしたようだった。
空が暗くなり始めた頃合い
「ではそろそろ拙は失礼させて頂きたいと思います」
「あら、泊まって下さって構いませんのよ」
「いや、拙にも帰るところが御座いますので」
「では明日もお越しになって下さい、手伝ってもらうことは、大体はおわかりでしょう?」
「解り申した、拙がお役に立てるなら是非とも、して時は何時ごろ?」
「朝から来て下さい」
「解り申した。拙は朝少し用がありますので午前8時か9時くらいでよろしいでしょうか?」
「それで構いません」
「斧を一本お借りしたい」
「どうぞ」
「それではまた明日」
斧を持って帰ろうとする嘉吉に
「もう少し、お待ち下さいまし」
フジは台所に小走りで向かいなにやらいそいそと支度をして戻ってきた。
「これを召し上がって下さい」
それは重箱に詰めら
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