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◇◆◇
……私は、待つことが嫌いだった。
でも、今は――
「ただいまー」
玄関の扉が開く音に続いて、彼の声が耳に届く。
私はソファを立ち、結婚式の写真が飾られたタンスのそばのドアからリビングを出て玄関へ向かった。
「おかえりなさい」
疲れた顔の彼に、にっこりと笑いかける。
――今は、待っている分だけ、あなたの帰りを楽しみにしていられる。
待っていた時間の空白をあなたが埋めてくれる。
だからもう、待つことは嫌いじゃない。
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