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やめろ!離せ、何するんだ!かっ、かっ、やめろ・・・。
平成最後の冬がやって来た。ここに来て10年目のである。僕はレストランで働く39歳。その日仕事を終えると彼女と夕飯を一緒に食べた。その日は珍しく星が綺麗に見えるところへ行きたいというのでバイクで箱根に向かった。暖かい飲み物を買ってくるといい暗闇に消えた彼女。一台の車がライトも付けずにやってくる。僕は綺麗な空気を胸いっぱいにすいこみ、吐き出そうとした瞬間、息ができなくなってしまった。何かが首にまとわりついている。えっ?店長?なぜここに居るの?なぜ彼女はライトのついていない車の助手席に座っているの?声を出すことも出来ず体が何かに包まれ、その車に乗せられた。「ここまでしなくても・・・」と僕を切断する店長。彼女は目を伏せている。それから僕はこの湖に着いた。そういえば何年か前から僕によく似た鉛筆書きの似顔絵が町中に貼られているみたいだ。この似顔絵はひらひらと風に吹かれてここにたどり着いたのだろう。300万という大金もいただけるらしい。それほど長い間僕はここにいる。10年前の芦ノ湖バラバラ殺人事件。身元不明だった僕のかくれんぼは今日やっと終わった。遺体は小田原市の飲食業川本豪さん当時(39)と判明。店長と彼女は結婚して子供ができた。名前は充と名付けられた。復讐をしたいかって?そんなことはどうでもいい。こうしてあなたたちの子供として生まれてこられたのだから。
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