破れ鍋に綴じ蓋

2/6
前へ
/6ページ
次へ
「なあ、あそこの食堂のリリアちゃん、めっちゃかわいいよな」 「なんだよ、お前も狙ってんのか?」 「え、お前も?」 「でもなー、声をかけてもつれないだよなー」 「あー、この前誰か振られたつってたしな」  そんな話をしながら歩く青年二人。 「やめとけやめとけ」  その背中に声がかかる。 「親方」  彼らが働く鍛冶屋の親方だった。 「あの子、恋人いるぞ」 「えっ」 「全然見たことないんっすけど」 「そうだろうな、でもいるんだよ。ちっとも帰ってこないだけでな」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加