このときを、ずっと待ってた

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「……ッ!?」  思わず、鎖を握り締めていた力が驚きに緩まる。  美月はゲホゲホと苦しそうに咳き込みながら、言うことを聞かない子どもを叱るように苦笑した。 「……もぉ、だめだよ、こーくん。ちゃんと……殺して、くれなきゃ……っ」 「な、何を……!?」 「人間の、首って……、絞殺しようとすると、結構、力が要るんだって……。殺したいほど力を出すには、まだ気持ちが足りなかったかな……。せっかくチャンス、あげたのに……。こーくんはやっぱり、優しいね……。じゃあ、これ、あげる」  美月が息を整えながらポケットから差し出してきたのは、バタフライナイフだった。 「これをわたしに刺して。でなきゃ……鍵は渡さない」 「な、なんでだよ……。普通に渡してくれればいいだろ!?」 「だぁめ。わたしにも目的があるの。それに、鍵は刺しただけじゃ開かない仕組みだよ。わたしを刺してくれれば、鍵もあげるし、解除方法も教えてあげる」 「意味が……わからない……」 「刺してくれたら、それも教えてあげるから。あ、足とか腕とかじゃなくて、ちゃんと失血死する位置に刺してね。そうだなぁ……少しはお話する時間も欲しいし、お腹がおすすめだよ」     
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