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特急の始発の時間まで、あと四時間半はある。
それまで間違っても、行こうとしていた三段壁に一人で戻って欲しくはない、と藤原は希美の後ろ姿を見ながら願うように思った。
長年の経験から、藤原には分かる。
こんな出歩く人の少ない深夜の三段壁は、県外の人にも知れ渡る自殺の名所と化してしまうという事が。
だからこそ、夜日勤のタクシー運転手は、今日もその“不真面目さ”を突き通す。
タクシーに乗ってくる、手を差し伸べるべき誰かの為に……。
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