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リビングダイニングへと来ると、何時もの通りの朝がそこにあった。湯気の立つつやつやの白米と、お味噌汁のいい香り。食卓にそれらを並べる母と、老眼鏡を掛けて新聞を読む父、スマホでゲームしている妹が食べるときにはスマホいじるのやめなさい。なんて母にたしなめられている。ほっと息を吐く、けれど安穏ともしていられない。
「外のあれはなんだ?」
「世界が滅ぶんだって」
やったね!とスマホから音が響いたと同時に妹がなんてことないように言う。ちっとも、やったね!じゃない
「…は?世界?滅ぶ??」
現実味のない言葉。
「テレビ見た方が早いんじゃない?」
左手でジャムが大量に塗りたくられた食パンを齧りながら妹がスマホから視線をリモコン向けた。テーブルに置かれていたリモコンでテレビをつける。
「パラぺッチョ様が、世界の終わりを予知なさいました。今日の00:00に世界が終わるのだと。予知能力専門家山内さんに話を聞いてみましょう」
深刻な表情でお姉さんが隣に座る専門家とやらに話を振る。その前に突っ込みどころが満載だ。予知だの世界の終わりだの専門家?夏特有の心霊現象スペシャルのような番組なのかと思いリモコン操作をして番組を変える。
「世界の終わりじゃあ、終わりじゃあ」
小刻みに震えるお婆さんが両手を擦り合わせる映像が映し出され、さらに番組を変える。
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