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○追憶編⑤~本物の人~
作曲コンクール授賞式会場前……
「わ~大きい~」
私と澪ちゃんは最寄り駅で待ち合わせをし、歩いて一緒に向かった会場であるホールの前で、その大きさに圧倒されていた。
中に入ると、始まる前のロビーには有名な作詞家、作曲家であろうお偉い先生方が勢揃いといった感じで明らかに場違いな感じがした。
ホールの座席に座っても、周りは年配の方ばかりで高校生なのは多分私達だけ……という感じで全然落ち着かなかった。
ビーーーーッ
「ただ今より……全国音楽振興会主催、第8回音楽コンクールの発表、及び授賞式を始めさせていただきたいと思います」
「まずは、歌手部門の発表です……」
コンクールでは私達が応募した作詞・作曲のソングライター部門だけでなく、歌手部門、作詞のみの部門など他にも色々な部門があった。
「続いて作詞部門、新人賞の発表です……」
(新人賞?……での募集もあったんだ)
名前が読み上げられて、歓声と拍手が上がり、受賞者が壇上に案内されていく。
応援してくれる人がいるということはある程度有名な人なのだろうか……
「続いて作詞・作曲、ソングライター部門、新人賞の発表です……」
(もうすぐかも……)
ドキドキした。
「続いて作詞・作曲、ソングライター部門、特選賞の発表です……」
(お願いします……音大受験できるかの人生がかかっているんです……)
心の中で強く願った。
自分の事でこんなに叶えたい願いというのは初めてだった。
「特選賞は……」
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