○追憶編⑦~プレゼント~

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「先生、この間の歌すごいよかったです!」 「あ、ありがとう……/////」 「曲も自分で作ったってことは、伴奏の部分も自分で作ったんですよね?」 「あ、あの昔、音大に行ってたもんで……」 「やっぱり~すごいです! どこですか? 実は私も音大に行きたいと思ってた時期があって……」 「バークロー……」 「???」 「あ、外国の音大で……」 「…………めちゃめちゃすごいじゃないですか……」 「でも昔のことだし、音楽は趣味みたいなもので……」 「もったいないですよ~! 外国の音大に行ける程才能があるんだから」 「一時期はソングライターを目指してたこともあるけど現実はそんなに甘くなくて……」 「先生だったらなれますよ! 私なんか特選賞候補にはなったけど賞とれなかったから音大受験さえできなくて……初めて作った曲は優秀賞だったんですけど……」 「賞とったの? すごいじゃん」 「いや先生の方がすごいですよ」 「僕、賞とったことないし……どんな曲? 今度聞かせて?」 「は……い、今度、持ってきます……/////」  後日…… 「先生~これなんですけど……」 「ありがとう……楽しみにしてた」  私は英語の授業が終わり、みんなが帰った後……ラジオ番組を録音したものや、提出前の音源をカセットテープにダビング編集したものを先生に渡した。  優秀賞でコメントが載った雑誌や特選賞候補で載った冊子も持って行って見せた。 「すごい……」を連発してくれる先生の一言一言が色んな声色で、どれも私に喜びと力を与えてくれた。 「本当にありがとう………………実は今日、僕の……………………いや、なんでもない」 (なんだろう……僕の曲も持ってきたとか? あと考えられるのは今日が先生の……)  先生が最後に言いかけた言葉が気になって「ダビング編集したものなのでテープごとあげます」という一言を伝えるのを忘れてしまった。  後で深く後悔することになるとも知らずに……
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