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彼女の冷え切った手は、私の体温で少しずつ温度を取り戻してきた。
私は彼女に気付かれないように、歩く歩幅を緩めながら、ポケットの中で繋いだ手に力を込めた。
莉那の手が離れてしまわないように。
少しでも長く、この時間が続くように。
ほんの少しだけでいいから。
想いが実らないのなら、今この瞬間だけでもいい。
大好きな貴女の体温を、少しでも長く感じていたい。
私は今日も、彼女への想いの大きさに気付かされる。
~完~
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